被写体へのアプローチ [使い方のコツ]

はい。アベっちだよ。 2回続けて技術的な話だったんで、今回はソフト的な話をしたい。そうだな、被写体へのアプローチというのはどうだい。

具体的にいうと、下の2枚。青空の入っているのと、入っていないの、どっちがいいと思う? これを「どーでもいいや」ではなく、真剣に考えられる人。あなたは優秀なカメラマンになれるかも!? しれない。

 青空あり

青空なし

この場合は青空なしだろうね。青空がけっこう目立ってテーマがぼやけるから、ないほうがいいんだ。さて、少し前になったけど、α100とDT 18-70mmF3.5-5.6、75-300mmF4.5-5.6の2本を持って函館に行ったときのことだ。観光でにぎわっている波止場から少し離れたドッグの辺りを歩いていると、古い倉庫が目にとまった。「おっ、いい味出しているな」一目でそう思った。レンガ造りとトタン貼りの倉庫がほぼ左右対称に並んでいる。ふたつの倉庫の間には、収容所にあるような門まで取り付けられているではないか。これは撮らずにはいられない。

まず最初はDT 18-70mmを18mmにセット。画面全体をシャープに見せたかったので、絞りはF8にした。被写体が大きいので道の反対側から撮らなければ画面に収まらなかった。

この大きさを伝えるためにも、また奇妙な雰囲気を感じさせるためにも通行人がほしかった。だが、さびれたところだ。誰も通らない。待つこと10分。ようやく自転車の人が通った。画面の真ん中に入れると出しゃばり過ぎでそっちに注意がいくから、思い切って端に入れて写した。

さて、いよいよ門に近づいてみる。白いペンキがはげ、あちこち錆びている。支柱のちょっと曲がった感じもフォトジェニックだ。映画の1シーンのように思える。レンズは同じく18mm、絞りはF8で撮影した。しかし、だ。あっ、ダメだ。左の奥に青いゴミ袋が!見えるかな? これが入っては興ざめだ。左は隠すものがなにもないから、自分が右にずれるしかない。

そうだ。門柱にゴミを重ねて消そう。うまいポジションがあるといいけど… よし、もう一息だ。そう思いながら立ち位置を移動する。

これならOK。ゴミ袋は見えなくなった。もっとも全体としては右側のレンガ塀たくさんが見えたほうが味はあった。だが、これは仕方がない。100%満足できることなんて珍しい。トタンもそれなりに面白みはある。一応これを決定としておこう。

せっかくこれほど天気がいいのだから、青空を取り込んでおこうか、そう思ってしゃがんで撮ってみたがこれは失敗。下側が写らないと奥行き感が感じられない。

念のため横位置も写しておいた。でも、これはあくまでも念のための域をでない。いわゆる捨てカット。安心感のために撮るようなものだ。

さて、これでおわりじゃない。撮っている最中にファインダーから見え、ずっと気になっていたことがある。それは真正面のレンガ倉庫の壁に描かれたマークだ。大きな帆立貝のマーク。画面ほぼ中央に、よく見ると帆立貝のマークが見えると思う、これをそのままにする手はない。レンズを75-300mmF4.5-5.6に交換して撮影。ちょうどいい焦点距離を探したら100mmだった。この門柱越しのフレーミングは、雰囲気がある。やはりこの場所は選んで正解。

 

あっ、待った。このフレーミングだと空が少ないし、門柱が上まできすぎだ。あまりピッタリだと息苦しい。青空が多くはいるようにカメラを少し上げて写すそう。門柱の先端も下がって詰まった感じがなくなった。これで決まりだ。門柱の前ボケが効果的だ。

僕に限らずプロカメラマンは、あれこれ工夫しながら写真を撮る。そんな流れがちょっとでも伝わればと、今日の原稿は書いた。写真を撮るときに大切なことは、センスとか感性っていうより、職人の技に近いものがある。本当にセンスが重要なのは、最初になにを撮るか決めるとき。そこだけじゃないのかな。あとはほとんど技術がモノをいう。センスがいまいちだから写真は苦手って人が多いけど、ちょっとした努力と工夫でずいぶんと変わるはずだ。チャレンジしてほしい。

今回は梨沙ちゃんはお休みでーす。次回は来るので待っててね。

 

 

 


2006-08-29 14:45  nice!(8)  トラックバック(2) 
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