ボケ味を考える [ピントについて]

はい。アベっちだよ。 今回はボケ味について考えてみたい。「いいボケ味」とか、「このボケ味はダメだ」とか、聞いてことがあるでしょ。いったいなにをいっているのだろう?

ボケとはピントのあっていない部分のことだ。あっている部分は、解像力チャートを使って、どのくらいシャープに見えるかを、数値として表すことができる。これに対してボケている部分は、数値化して評価できないから、「味」ということばで語ったのだ。昔の人はエライもんだ。でも、味となってしまうと基準はあやふやだ。料理だって、誰もが旨いという定番モノもあれば、多くの人はまずいというけど、一部の人にだけ人気なんてものもある(笑)

 これは綺麗なボケ味

レンズもまったく同じだ。大昔は大口径レンズは、とても高価だったので、大口径で被写界深度が浅くて大きくボケると、それだけでボケ味がいいといわれた時代があった。たとえば、85mmF1.4クラスのレンズは、「絞り解放のボケ味がいい」といわれるモノが多いが、それは被写界深度が浅いが故の、ただの大ボケだ。ボケ味を語るなら、F2.8~4あたりでやってもらいたい。はっきり言ってしまうと的はずれの評価も多いということだ。

また、単焦点レンズに比較するとズームのボケ味は汚いといわれるが、実際のところはどうだろうか。確かに単焦点レンズのボケ味を上回るほどのズームレンズにはお目にかかったことがない。そういう意味ではズームは単焦点レンズのボケにかなわない。でも、ズームも20年前に比べればはるかによくなった。この写真はDT 18-70mmF3.5-5.6で写したものだ。このボケに問題があるとは思えない。昔のズームは写すだけでも精一杯だったから、ボケ味のことなど考慮していられなかったんだ。

ただ、しいていうとズームは、中心と周辺の描写にちがいが大きい。ビギナーにもわかるところだとは、中心と周辺のボケかたのちがいがある。この写真もDT 18-70mmF3.5-5.6で撮っているが、中心部のボケは丸くて綺麗なのに、周辺になるにしたがってボケは丸でなく引っ張られたように変形している。もっともガッカリすることはない。このくらいは普通だ。あまり気になるなら、画面の周辺には、ボケを入れないように撮ればいい。もうひとつボケ味で気をつけたいのは、細い線のようなものを撮ったときだ。線状のものは、どうしても綺麗にはボケない。ガチャガチャとした再現になってしまうのだ。電線や木の葉でも松のような細いものには気をつけよう。

 中心のボケ像は丸い

 周辺のボケ像は丸くない

さて、ボケ味といえば、このレンズ。最後に135mm F2.8 [T4.5] STFについて話しておこう。このレンズはミノルタ時代の最高傑作と呼べる逸品だ。このレンズほどボケ味を考えて設計されたレンズはない。綺麗なボケ味を無理を承知で定義すると、「結像した部分から、遠のくに連れて、画像の輪郭が柔らかに崩れたもの」となるだろう。だが、実際のレンズのボケは、画像の輪郭は崩れていない。崩れているのは中のほうで、ボケ像にはしかりとした輪郭がある。世の中のすべてのレンズは、輪郭の中がボケる。

 75-300mmF4.5-5.6

135mm F2.8 [T4.5] STF

どうかな。そのちがいは一目瞭然でしょう。135mm F2.8 [T4.5] STFで撮影すると、ボケ像の輪郭は文字どおり、まったくなくなる。これがアポダイゼーション光学エレメントのなせる技だ。世界で一番ボケ味の綺麗なレンズと言っても過言ではない理由がここにある。とはいえすべてのシーンで、輪郭がないボケ味がピッタリとはいい切れない。夏の元気なシーンなら輪郭のあるボケがいいだろう。しっとりとした秋の写真なら輪郭のない柔らかなボケ。そんなふうにに使いこなしてみたい。

☆モデル梨沙(リサ)ちゃんからのひとこと そんなに綺麗なボケ味のレンズがあるんですかぁ~ 発売されるのが楽しみですね。梨沙もそのレンズでもっとたくさん撮ってほしいなぁー♪

そうだね。135mm F2.8 [T4.5] STFなんて持っていたら世界が変わるよ。ただし、このレンズはピントあわせがマニュアルのみだ。AFは被写体の輪郭を見てピントをあわせるから、輪郭がない画像ではあわせられないからだ。でもちょっと練習すれば大丈夫。ボケが綺麗な反面、ピントがあっているところはものすごくシャープなんだ。チャレンジしてみよう。では。

 

 


2006-09-05 21:09  nice!(8)  トラックバック(0) 
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